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2015年7月11日 (土)

こどもの時間

  フォークルのアルバムを探していたら、半年くらい前に中古レコードを買う時にMoon1 1枚では送料がもったいないのでついでに買ったなぎら健壱さんの「永遠(とわ)の絆」(1978年)日本青年館ライブアルバムが出てきたので聴いてみました。司会がタモリさん、応援に高田渡さん、加川良さんなどフォークのレジェンドも参加して、コンサートというより落語や漫才を聴いているようです。曲調もデキシーランド・ジャズ風だったり、ロック風の童謡だったり、ブルース、演歌やバラードと多彩です。神出鬼没で風体は飲み屋さんの暖簾をくぐる恰好が似合う人です。このアルバムもよく言えばライブの臨場感がある録音でレベルが一定せず聞き取りにくい部分があります。

  ことにB面が秀逸でパンチのあるピアノのリズムにMoon2 引きずられて酔っ払いがブルースを歌うような「残り酒」、高田渡さんの雰囲気の「最後の思い出」にほろっときてその高田渡さんをネタにしてしまう「葛飾にバッタを見た」で大笑い。
なぎらさんのような歌がアングラと言われた当時、変幻自在の歌い方・スタイルのシンガーは結構いました。けれどいまはなぎらさん以外は見当たりません。いまでいうインディーズなのでしょうけれどこちらは商業ベースに乗れないだけで売れればメジャーデビューする予備軍のようなものらしいです。歌舞伎役者みたいなメイクや派手な衣装のビジュアル系というジャンルらしくて見た目も楽しいです。

  フォークの生き字引のようななぎらさんは昭和30年代の下町についても本を出Moon4 していてお父さんが子供にそのころの様子を話して聞かせる絵本「ぼくらは下町たんけん隊」を読むと浅草や隅田川沿いの道を歩いている気分になります。日が暮れるまでベーゴマやメンコに興じていました。「三丁目の夕日」の世界ですね。日本橋、京橋、神田、下谷、浅草、本所、深川を下町と呼ぶそうですが、簡単に言えば山の手線の外側でしょうか。このころの下町の様子を活写した山田洋二監督の「下町の太陽」がありました。主演の倍賞千恵子さんの主題歌が記憶に残っています。1956年度経済白書の「もはや戦後ではない」という言葉がはやり、1960年には所得倍増計画が策定され、日本が戦争から立ち直って急激な経済成長を始めるダイナミックな時代でした。

  私は東京の下町に住んだことはありませんが絵本 に描かれている情景はほぼ同じです。家の前の未舗装の道路(これが普通)に
Moon7は時折ボンネットバスやオート三輪が土ぼこりを上げて往来していました。町内を練り歩くチンドン屋さんや紙芝居屋さんのあとによく付いていったものです。バスの後部を改造した宣伝カーが「月光仮面」の主題歌を流しながらやってきたときは興奮して、それから一週間くらいその話題でもちきりでした。ボール紙でできたお面をもらいました。風呂敷に三日月の紙を張り付けて覆面のようにかぶり、マントを着けて走り回っていたと母がよく言っていました。

Moon5  家にはテレビがなく、「月光仮面」は近くの友人の家で十数人が集まって明かり を消して見ました。主人公祝十郎役の大瀬康一さんは製作予算が少なかったこともあって大部屋俳優からの抜擢だったそうです。大瀬さんはそのあと「隠密剣士」で忍者との死闘を牧冬吉さんとの名コンビで演じて忍者ブームが巻き起こりました。新聞紙で刀を作り、折り紙で手裏剣をつくって忍者やチャンバラごっこをしました。私の家の前は公園で子供たちがよく集まり歓声を上げて遊んでいるのを見ると地面に線を引いて陣取りやビー玉を思い出します。道路いっぱいにロウ石で丸が描かれていると「ケンケンパッ」と小声でケンケンしながら通り過ぎたりしています。

  このころのテレビドラマは「月光仮面」のようにストー リーが勧
善懲悪、主人公が正義の味方で1話完結しながら続くというパターンでしたからわかりやすく善悪の判断が明快でした。いまはこれがアニメでセーラームーンのようにわかりやすいストーリーは少なく設定が複雑すぎ、暴力的で理由もなく戦ったり登場人物の表情も乏しくてよくわかりません。子供の時間だった6時台はニュース番組が占め、ニュースはほんの少しでワイドショーのようなグルメや商品の紹介だったりします。 この後の時間帯はバラエティーで芸能人の学芸会になり、こどもたちが目を輝かせて観るようなテレビ番組は皆無です。いじめを助長するような極悪番組も批判されながら視聴率のために残っています。

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  いまこどもたちは情報や会話を通信機能があるゲーム機や携帯電話に依存していてグループに入れなかったり、些細なことでいじめられて、自殺に追い込まれた最悪の事態が起きています。これまでのいじめ対策は何の効果もなく陰湿化、極悪化しています。少年法の改正とか厳罰化するのも必要ですが、私たちが子供のころテレビのヒーロードラマで学んだ善悪や友情といった人間の根源的な価値観を伝えた6時台の番組の復活を望むところです。根がしっかりすれば木がすくすくと育つようにこどもたちには大人になるまでまっすぐに生きてほしいですね。
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