フォト
無料ブログはココログ

« 2015年12月 | トップページ

2016年4月

2016年4月 1日 (金)

誰もがひとり歌っている

  ほぼ1年、ようやく骨折が治りました。家にずっと引きこもらなければならないのOntheroad_1 だから、本を読もう、ギターを独習しよう、何でもいいから勉強しよう・・・昨年の今ごろはそう考えていました。ところが、身動き取れないことで何もする気が起きず、何もせずぼんやりと過ごしてしまいました。遠出ができるようになったので久しぶりに元の職場の同僚とOB会の幹事を務め話を聞くと、同じ1年でこれほども違うのかとその充実ぶりはまぶしいほどでした。何もしなかった私は会話についてゆけず、ベンチ入りした選手のようでした。Ontheroad_2 現役で会社勤めの時は良い仕事に就けるのは実力が7で運が3くらいだと思います。これが定年以後だと実力と運は良くて五分五分、私のようにさしたる実績も人望も徳も人脈もない人間はほとんど運次第だということを感じました。この1年はその現実を素直に受け入れて怒ったり悩んだりしても無駄なことを学びました。

  現役の時は上下関係や責任分担で利害関係とそれを利用したりされたりで人間関係が成り立っていますが、リタイヤすれば利害関係がなくなり、利用できるかどうかだけの関係になります。親子関係しかりで、わずかばかりの年金や資産しかない利用価値のない親との関係は疎遠になるわけです。苦労して育てたなんて昔話をしたところで何の意味もありません。ずっと以前の職場のOB会では出席メンバーによるのでしょうけれど上下関係をそのまま持ち込ん Ontheroad_3_2 で上から目線で話されたり、いつの間にか本人のお手柄にすり替えられた自慢話を聞くのは苦痛でしかありませんでした。

  趣味を同じくするメンバーのOB会なら旅行や趣味の薀蓄話を聞くのは楽しいものです。過去にしか目がいかない老人たちと、今から何をしようかと若者のように目を輝かせている老人たちとでは玉手箱を開ける前と後のように世界も人間関係もまったく違うのです。過去に起きたことがこれから先必ずしもOntheroad_4 起きるとは言えない世の中です。それに記憶はどんどんあいまいになって自分の都合の良いように脚色された過去の栄光など心の支えにはなってもいま起きている厳しい現実を直視して対応しなければ、これから先生きてゆくうえで何の役にも立ちません。正しく過去を振り返られる人が正しく将来を予測して間違いのない人生を送ることができる、過去をきちんと振り返らない人は人生を誤っても気づかないまま一生を送る―そう思います。

  曽野綾子さんの「人間の基本」を読むと容赦なく突きつけられる冷たい現実、きれいごとではない現実があります。この世の中をふれあいのある温かい世界だなんて妄想をして現実から避けようとするからずっと根源的な問題が解決しないのだろうと思います。このごろのニュースやゴシップを見聞きするときれいごとを並べる人ほど信用できない・・・そう思うようになりました。疑うのは良くないけれど、何の疑問も持たずに騙されるよりはましだと思います。それに騙される方が悪いといった犯罪者を擁護するおかしな風潮もあります。

  曽根綾子さんがこの本の中で繰り返し述べているように厳しい現実を乗り越えるにおは助け合いだなんて期待せず、Ontheroad_5 自分の身は自分で守り、自分の道は自分で決めて進むしかないのだとおもいます。そんな当たり前のことを浜田省吾さんのライブアルバム「ON THE ROAD」(1982年)を聴きながら感じました。メッセージは違うところにあるのかもしれないけれど、聴く人の置かれた立場によってそれは変わるものだから、人生の途上で今しか真実ではない自分をしっかり見極めて気持ちを前に進めてくれればそれでいいのだと思います。誰もがみんな、誰かに聞かせようなんて思わないで勝手に歌を歌っている世界なのだから、聴きたい歌を聴き、聴きたくない歌は聞き流せばいいのだと思います。

  ところが、聴きたくもない歌を大音声で歌う人たちがOntheroad_7 増えているように思います。またその歌を歌うなと騒ぎ立てる・・・そんな騒々しい状況が続いています。心に響く歌は誰でも自然と聴き、感動で涙する名曲があるはずです。ところが現状は不安を煽るように支離滅裂で汚い歌詞と、派手なパフォーマンス、うるさい演奏、下手な歌で心の平安がかき乱されます。不完全な人間が支配しているどうしようもない世界である以上、貧困も格差も、いじめも犯罪も戦争もそれぞれレベルは違いますがなくならないのです。それは昔も今も何一つ変わっていません。解決するための名曲とうまく伝える歌い手さんの美声ははいつになったら聴けるようになるのでしょうか。それまでしっかり耳をふさぐことしか私にはできません。
Ontheroad_6

« 2015年12月 | トップページ